① 耐震シート付き金具を採用した経緯をお教え下さい
BCP(事業継続計画)は企業にとって重要な取組みのひとつになっております。パナソニックのなかでも企業直結取引を行っているBtoB分野でいち早く取り組み、災害時の復旧計画を立案してお取引先様にご安心をいただき信頼関係を築いてまいりました。
自然災害、特に地震につきましては建屋の耐震診断・耐震補強を行いお取引先様に直結する設備の洗い出しと保護の方法を材料保管・生産設備はもとより梱包場のPCや備品棚までお取引先様の生産にかかわる全ての工程を対象に検討してまいりました。耐震対策として重量設備をアンカーで固定することはすぐに思いつくことですが工事が必要で設置後の移動が簡単にできませんしアンカーでは全ての設備・備品に対応できません。そこで福島で生産開始するにあたり耐震マットの使用を検討いたしました。耐震マットの使用を決断いたしました理由は震度7クラス対応していることや工事の必要が無く、移設も簡単で繰り返し使用可能であることです。
東日本大震災後九州に移転してまいりましたが震災で破損や変形しなかった金具は再設置し使用しております。
② 実際に御社の生産設備に導入したことによる減災効果
ご存知のとおり福島では震度6強という大変強く経験のない地震にみまわれました。そろそろ休憩の時間かと時計を見た直後地震が発生いたしました。
発生直後の揺れも震度5弱程度で特に驚くこともなく揺れの収まるのを待っておりました。そして揺れが一旦おさまった直後、ものすごい揺れが始まりパーテーションが15秒程で崩れてなくなり天井の板がはがれ、吊ってあるエアコンや加湿器の支柱の根元が広がっていくのをただ立ちすくんで見守ることしかできませんでした。地震の揺れがおさまって外へと避難いたしました経路には瓦礫が散らばっておりましたがガラスにも飛散防止のシートが貼ってあり危険は最小限に抑えられていたと思います。
後日重要な設備設置場所に入り様子をみてまわり被害状況を確認してみると耐震シート設置のほとんどの設備は震災前の位置にしっかり固定さてれていました。ジャッキ式の一部の支柱か折れ数センチ移動した設備はありましたがそれが最大の被害でした。
設備を守れたことも重要な減災効果でありますが、なにより従業員が重量設備に挟まれることなく全員無事であったことがなによりの結果でありました。
設備が移動しなかったことで避難経路が確保されたことも安全に避難できた要因であることは間違いないと思います。
③ 対策をしたご感想
耐震マットの設置は非常に簡単に行うことができました。ジャッキ式はシートが多少つぶれるようにジャッキアップすれば完了です。設置に関しては対象物の重量・設置面積が重要です。実際の設備をみていただいて設置方法を相談されることをお勧めいたします。
設置後の移動の際は耐震シートを剥がすことはできますが無理やり剥がしたりするとフロアがタイル貼り等の場合タイルを剥がしてしまいます。設置の際は剥がし方もしっかりお聞きしておいたほうが良いと思います。滅多にないこと、経験したことのないことに対する対策になりますのでこれを読まれる方はいろいろ悩まれているかと思います。費用もかかります。安全性、設備保護の優先度を明確にして対策されることをお考えいただくことが重要かと思います。